法務省政府三役が人権侵害救済法案を受け入れ
2010-06-22


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6月22日、法務省政府三役は「新たな人権救済機関の設置について(中間報告)」を発表した。@「政府からの独立性を有し、パリ原則に適合するものとして、人権委員会を設置する」こと、A「人権委員会は内閣府に設置することを念頭」におくこと、B「報道機関等による人権侵害については、特段の規定を設け」ずに、今後の検討課題とする。といった内容。
 これは自公政権時代の旧人権擁護法案への私たちの批判に対してほぼ応えるものであり歓迎したい。2002年の第154国会に閣法として提出され、2003年10月の衆議院解散により廃案となった人権擁護法案は左右からの批判に挟まれて身動きがとれなくなっていた。右からの批判は、朝鮮籍の人や部落解放同盟の人が人権委員になるのはケシカランとか、定義があいまいで逆差別が行なわれるんだという差別意識丸出しのものだったが、左からも法務省の外局では実効性がないとか、報道の萎縮をもたらす可能性があるではないかといった批判が出ていた。
 社民党は当時の民主党、自由党と三党で実務者の会合を重ねて、対案作りに取り組み「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案」としてまとめた。その後、民主党が提案している人権侵害救済法もほぼこの内容を踏襲している。煮え切らなかった法務省政府三役も、ようやくこの方向で腹をくくったというだろう。この見解を前提に、後退することなく前向きな検討がすすめられることを期待したい。

 なお、人権擁護法案への対案について三党で以下の6点について合意していた。
 @新たに設置する人権委員会は、「パリ原則」に沿った独立性を備えたものとするため、内閣府の外局とすること。
 A人権救済の実効性を確保するため、都道府県ごとに「地方人権委員会」を設置すること。
 B人権委員会の構成は、国・地方とも、ジェンダーバランスに配慮し、NGO関係者、人権問題・差別問題に精通した人材を充てること。
 C救済手続は、任意性を基本とした「一般救済」の他、制裁を伴う調査、調停、仲裁、勧告、公表、訴訟援助、差止請求など、強制性を備えた「特別救済」とすること。
 D「特別救済」は、報道の自由その他の憲法上の要請と抵触しないものとすること。
 E人権擁護委員制度については、抜本的な制度改革を行い、国や都道府県に設置される人権委員会と十分連携をとりながら、地域での効果的な活動ができるようにすること。
(2003年7月10日了承)

 BCDEなどは積み残されているが、最大の懸案だった@が了とされたことは非常に大きい。なお「パリ原則」とは「国内機構の地位に関する原則」(国連人権委員会決議92年3月3日/国連総会決議93年12月20日)のことで、国内人権擁護機構の権限や責務等の原則について定めたもの。
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