敬虔にして公明なる心情を持って当たれ
2006-08-06


6日の新聞で44年7月15日付けで陸軍大臣東条英機名で出された文書(陸密第2953号 靖国神社合祀調査及上申内則)が報道されていた。靖国神社への合祀を、「戦役勤務よるものに厳密に限定しろというもの。戦争末期には上官の温情から合祀対象者が拡大傾向にあったので、合祀対象を「戦役勤務に直接起因」して死亡した軍人・軍属に厳密に限れということらしい。「敬虔にして公明なる心情を持って当たれ」と厳命したんだと。
 靖国神社は前身の「東京招魂社」以来、国家のために戦地で戦役に従事して死亡した軍人・軍属を祭るための神社だ。戦後、刑死または拘置中に死亡したA級戦犯の合祀が「靖国の原則」からも大きく外れることは明らかだね。東条さん自身が厳命してるんだもんね。戦後、靖国神社は基準は大幅に緩めた。処刑された戦犯の遺族にも遺族年金などが支払われるようになった五三年の遺族援護法、翌年の恩給法改正などを背景に59年からBC級戦犯の合祀をはじめ、78年のA級戦犯合祀に至る。A級戦犯合祀はどう考えても通達違反だ。
 戦地で死んでいないから乃木希典、東郷平八郎なんかも合祀されていないし、終戦時に自決したような軍人達も当然合祀されていない。何で軍人でもない外務官僚までA級戦犯だと祀ってもらえるのか摩訶不思議。ご都合主義で対象を決めてきたために、いろいろ矛盾が出ちゃってるんだよね。A級戦犯の前に西郷隆盛を祀れっていうの。

■靖国合祀秘密文書の要旨
▽「靖国神社合祀調査及上申内則」(陸密第二九五三号 昭和十九年七月十五日 陸軍大臣・東条英機)
 一、靖国神社への合祀は戦役事変に際し、国家の大事にたおれた者への神聖無比の恩典。上申は公明に行え。
 一、「合祀上申」とすべきは戦死者または戦傷死者、「特別合祀上申」とすべきは(1)戦地においてマラリア、コレラなど十七のいずれかの流行病で死亡した者(2)自己の重大な過失によらずに負傷または病後に死亡した者(3)戦地以外で戦役、事変に関する特殊勤務に就き、負傷または病後に死亡した者―とする。
 一、死没の原因が戦役勤務に直接起因しているかどうかを子細に調べよ。

▽「靖国神社合祀者の調査詮衡(せんこう)及上申名簿等の調製進達上の注意」(陸密第三○○四号 昭和十九年七月十九日  陸軍省副官 菅井斌麿)
 一、靖国神社合祀上申の対象資格者は軍人・軍属で、その死因が戦役勤務に直接起因することを前提に精査せよ。
 一、結核、糖尿病、心臓まひなど戦役勤務以外に原因があったと疑われる病没者、自殺、災害死亡者などを合祀上申する場合は情状を示した部隊長の意見を添付せよ。
 一、戦地以外で戦役に関する公務のため死亡しても過去に合祀された例は一、二にすぎない。
 一、誤れる部下愛にとらわれたり、単なる事務処理に流れて上申することは、神霊の尊厳を冒す実にゆゆしき大事。
 一、思想的に問題ある言動をした者などは、死因だけで判断せず、市区町村当局、憲兵、警察、本人の就職先などにあたり、風評を集めた上で慎重に上申せよ。
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